
近年はペットーブームもあり、この「ブリーダー」という職業が注目されています。
ただブリーダーと呼ばれる方がどのような資格を持って活動されているかについてあまり詳しく理解されていません。
そこでまずはブリーダーについて解説してからブリーダーの資格の種類をご紹介していきます。
Contents
ブリーダーとは
ブリーダーとは「主に動物の繁殖及び改良に従事する者」とされています。
具体的には犬や猫を繁殖させ販売に適した状態まで育て上げること、その間に躾を行い病気予防の為の予防接種を行うことがブリーダーとしての「業」です。
今現在は公的な国家資格ではなく政令指定都市や都道府県に「第一種動物取扱業」の登録することが2005年改正で導入された「動物愛護管理法」により義務付けられました。第一種動物取扱業には以下の分類があります。
動物取扱業該当業種例 | |
販売 | ペットショップ、ペット販売問屋、ブリーダー など |
保管 | ペット専用ホテル、トレーナー、ペット保育園、ペットシッター など |
貸出 | ペットレンタル店、動物芸能事務所 など |
訓練 | 盲導犬訓練士、介護犬訓練士 など |
展示 | 動物園、ふれあい動物園、サーカス など |
それぞれの業種において次の条件が必要となります。
- 種別ごとに半年以上の実務経験がある
- 種別に係る知識・技術について学校法人その他の教育機関で1年以上学び卒業している
- 各種団体が認定する客観的な試験において該当する種別に係る知識・技術を習得したと証明されている
上記の条件を満たした者が「動物取扱責任者」となり事業所に一人は常勤者として必要とされています。
ブリーダーになるには
ブリーダーには産業動物を扱う分野もありますが一般的には子犬や子猫を繁殖・交配し販売に適する状態まで生育させる責任を負う職業として認知されています。
販売ルートは個人売買、ペットショップへの卸しなど様々です。
ブリーダーになるためには2005年改正で導入された「動物愛護管理法」により地方自治体に「第一種動物取扱業」の登録をする必要がありその業種は次のように分類されています。
- 販売(ペットショップ、ブリーダー)
- 保管(ペットホテル)
- 貸出(動物プロダクション、動物園)
- 訓練(訓練業者)
- 競り斡旋業
- 譲受飼養業
特に犬猫販売業者に対しては次のような基準が制定されています。
- 犬猫等健康安全計画の策定と順守
- 獣医師との連携確保
- 販売困難な犬猫について終生飼養の確保
- 49日以下の販売禁止
- 帳簿等の作成・保存と所有数の報告
以上のような手続きを経てブリーダーとして活動できるようになりますが専門的な知識や実務経験が必要になるため通信講座や専門学校で所定の講座を受講し修了することが必須となっています。
ブリーダーの資格の種類
ここからはブリーダーに関する資格をいくつか紹介していきます。
資格によって身につけることができる内容も様々ですので自分が求めている資格はどれなのか明確にしましょう。
犬猫ペットブリーダー
犬猫ペットブリーダーは日本生活環境支援協会が主催する資格で、協会の試験を受験するか、通信講座を受講することで取得できます。
内容はブリーダーに必要な遺伝学や予防医学、健康管理、などの専門知識や交配の方法など多岐に渡ります。
さらにはブリーダーとして独立する際に必要な資金調達、設備、卸しルートや販売ルートの確保の仕方、経費など具体的なノウハウを身に着けることができます。
一つの事業ですからただ犬や猫が好きだからという理由だけではなく経営者感覚を持つことも重要になります。
ペット繁殖インストラクター
ペット繁殖インストラクターは日本インストラクター技術協会が主催する繁殖に関するより専門的な資格です。
通信講座を受講することで資格取得でき、ペット繁殖インストラクターに必要な繁殖の方法についてより詳しく習得することができます。
犬や猫はその品種別で妊娠周期が違うためそれの即した交配方歩や注意点、奇形などの先天性疾患の予防など学ぶことは多岐に渡ります。
動物看護師
小動物看護士は主に動物病院において獣医師のサポートの役割を果たします。
2019年6月21日に「愛玩動物看護師法」が成立し3年以内に施行されることが決定しました。
これにより動物看護師は獣医師の支持の元皮下注射やマイクロチップの挿入などの専門的な措置も可能となります。
その為今後は重要な資格として注目度が高まることは間違いありません。
小動物介護士
近年のペットの飼育状況は犬に限れば「室内飼育化」「小型犬化」「肥満化」が大きな流れとなっています。
原因として考えられるのが飼い主の高齢化もあります。室内でも飼いやすい小型犬が好まれる傾向が高く、飼い主の体力低下もありペットの運動不足から「肥満化」してしまいます。
これに飼い主ペット両方の加齢が加わると散歩だけではなく病気の際動物病院へ行くことさえ困難な状況となります。
こうした際通院の補助や介護が必要になったペットの介助方法などを指導するのが「小動物介護士」です。
愛玩動物飼養管理士
「動物の愛護及び管理に関する法律」の趣旨に基づいた知識や技能を持身に着けることを要求される資格で、1級と2級があり2級を取得後2年間の実務経験の後1級の受験が可能となります。
その他の資格
その他には「ペット販売士」「ドッグトレーナー」「トリマー」「ペット飼育アドバイザー」などがあります。
最近では「ペットロス」に陥った飼い主の心のケアを行う「ペットロスアドバイザー」と言う資格もあります。
ブリーダーの資格を取るメリット
犬や猫などのペットの飼育数は年々増え続け日本ペットフード協会の発表によると2018年12月25日時点で犬が8,903,000頭、猫が9,649,000頭となっています。
以前は犬の頭数が多かったのですが最新の調査では猫が多くなりました。
こうした犬猫などのペットの流通に際し専門的な知識と経験をもとに必要とされているのがブリーダーと呼ばれる人たちです。
今後も伸びを予想されるペット産業の中でブリーダーの資格を取ることで得られるメリットとは何なのか詳しく解説します。
開業できる
事業登録をすることでブリーダーとして開業でき、2017年時点での環境省のデータによると12,448件の登録があります。
ただし開業するためには犬や猫などに関する知識だけではなくある程度の費用も必要です。
規模にもよりますが、設備資金や運転資金をはじめ流通経路の確保、獣医師との連携、などのハード面での準備が必要になります。
開業後も動物の健康管理、餌やり、散歩などやるべきことは山ほどあります。
こう書くとメリットなど無いように聞こえますが、それを補って余りあるメリットが「動物と暮らせる」という事です。
ブリーダーになる人達は当然動物好きです。動物と一緒に生活しながらより良いペットを繁殖させ販売することで生活が成り立ってゆくのならこんな幸せはありません。
ある調査によるとブリーダーの平均収入は300~400万円と言う報告もされています。
この金額が多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれでしょうが満員電車に揺られながら通勤もしなくていい、煩わし人間関係に悩むこともないストレスフリーな生活を送ることができることが独立開業の最大のメリットです。
就職に有利
開業以外には次のようなペット関連施設への就職が可能となります。
どんな施設であっても何も知識がない人を採用するよりも知識・経験ともにある人を優先することは間違いありません。
- 動物病院:平成30年3月15日に農林水産省がそのサイト上で発表した「平成29年度飼育動物診療施設の開設届出状況」によると動物病院の数は15,797件ありそのうちペット診療を扱う動物病院は11,839件あるとのことです。
- 猫カフェ:近年猫カフェが流行しておりその癒し効果もあって年々増加しています。環境省が平成27年10月に行った「ネコカフェ実態調査」によると全国の店舗数は314店舗となっています。最近開業する猫カフェは保護猫を置くことが多くなってきています。いい傾向だと思います。
- ペットショップ:総務省・経済産業省が行った活動調査の結果によると2016年時点でのペットショップの総数は990,246事業所となっており2012年の調査と比較すると約4,3%減となっています。
- ペットサロン:第一種動物取扱業の中の預かり業務にあたり、トリミングやペットホテルを運営できます。2015年の時点で全国に23,834件となっています。
以上に記載したペット関連施設は総数が1,026,233件あり、すべてが就職のための受け皿となり、また自身で経営することができるものもあります。
今の日本は人手不足と就職難が混在しているおかしな状況になっています。
こうした中で必要となるのは目に見える「資格」です。その点ブリーダーの資格は将来的にも有望だと言えます。
講師になる
全国に動物専門学校は91校あり、そこで教える講師もの方もたくさんいらっしゃいます。
前述のようにペット産業は今後も伸びてゆくと予想されていますのでそうしたが専門学校において講師の確保も最優先となって来ます。
人間には独立に向くタイプと教えることに向くタイプがあります。ご自分の適性を考えながら資格取得を目指すのも一つの方法です。
ブリーダーの資格を活かせる仕事には何があるのか
今現在の犬猫ペットの飼育数に関して犬は減少、猫は増加の傾向にあり最新の調査では猫の飼育数が犬を上回る結果となっています。
こうした背景もあり「ブリーダー」の仕事が注目を高めています。
このブリーダーと言う仕事はどんな資格でどのような仕事に生かせるのか多くの方が正確な情報はお持ちではないと思います。
資格を取得した後、活かせる仕事は様々あります。ここでいくつかご紹介していきます。
犬猫ペットブリーダー
犬猫ペットブリーダーは主に人気の犬や猫を繁殖されることです。現在人気犬種№1はトイプードルで次にチワワ、柴犬となっています。
小型犬が占めておりこれは犬の「室内飼育」が増えていることに要因があります。
人気が高い分価格も高騰しておりトイプードルは300,000円前後での販売が主流となっています。
猫はマンチカンやラグドールスコティッシュフォールド、メインク―ン、ミックス種など人気がありますが価格は個体差が大きいようです。
このように高価格で取引される生体を取り扱うことができれば独立開業も夢ではありません。
ただしブリーダーとして独立するためには設備資金、維持費、人脈など様々な要件を満たす必要があります。
環境省のデータによると2017年現在12,448件の事業者登録がされています。
ペット繁殖指導員
ペット繁殖指導員とは一般社団法人日本ペット技能検定協会が認定する資格で、ペットの流通現場において指導的な立場として活動できます。
購入者に対する飼育や健康管理などについて専門的な立場からアドバイスを行うことが日常的な仕事となります。
小動物介護士
現在ペット、特に犬の飼育状況は「室内飼育」「小型犬化」「肥満化」となっています。
これは飼い主側の高齢化などが要因の一つで「散歩が困難」なことが「肥満化」を呼び様々な病気の誘因ともなっています。
そうなると動物病院への通院が不可能となり室内での介護も必要となります。こうした状況に対応するのが「小動物介護士」です。
通院の介助や室内での介護方法を指導し飼い主、ペット双方が快適な生活を行える環境づくりを行います。今後はより需要が高まる資格に間違いはありません。
ペットホテル
第一種動物取扱業の「保管」業務の下ペットホテルを開業することができます。
飼い主が旅行等で長期間留守にする場合一時預かりをすることが主な業務ですがトリミング等の美容を併設している施設も多く見受けられます。
2015年現在「ペットサロン」として登録されておる施設は23,834件あり増加傾向にあります。
まとめ
これまでブリーダーについて詳しく説明してきました。ブリーダーは命を扱う仕事ですので、条件も厳しいものになります。
資格を取得する前に一度自治体などで話を聞いてみると良いでしょう。
そして、自分に必要な資格取得に挑戦してみることをおすすめします。