
ブリーダー業の運営には長期的な視野をもって繁殖計画を行う必要があります。
特に犬猫の繁殖においては先天性疾患を持つ犬猫を繁殖に用いないよいうに個体識別が重要です。
そこで有効な方法がマイクロチップの装填です。マイクロチップの装填は個体識別はもちろん万が一の災害などの際の迷子札になり、購入者への付加価値にもなります。
マイクロチップの装填率が高まっています
海外ではマイクロチップの装填は日本より数年早く普及し初めていますが、日本で装填に注目が集まり始めたのは度重なった大規模災害がきっかけです。
それまで犬猫には首輪をつけておくことで飼い主がいる証明になると考えられていましたが、実際には飼い主のいることの証明にはなっても飼い主の個人情報にまではたどり着くことが出来ないと課題が生じていました。
でもわずか数mmのマイクロチップを皮下に装填するだけで痛みもなくこの問題を確実に解決できるという点で高く評価され日本でも徐々に装填率が高まりつつあります。
マイクロチップの装填は大手ペットショップが自社で販売する子犬子猫全てに装填を済ませ販売を行ったことも大いに普及に貢献しています。
この活動をきっかけにマイクロチップの知名度が上がり、多くの動物病院で装填が可能になりました。
ブリーダー業においては、繁殖時のペアの管理をこれまで写真や名前で行い、記憶任せになりがちであったものがマイクロチップの装填をきっかけによる確実なデータとして整理できるようになりました。
特にドッグショーを目指す場合や海外での繁殖を計画している場合、マイクロチップの装填は個体の証明にもなり有意義な方法と言えます。
近親交配や不適切な交配を避ける手段としても有効
繁殖においては自身の犬舎、猫舎内で長年繁殖を繰り返していると近親交配や先天性疾患の多発が目立つようになります。
このような問題を解決するためには交配時の組み合わせ、個体情報をしっかりと管理しなければなりません。
近年この個体管理の重要性からJKCでは血統書にマイクロチップ情報を記載することが可能です。合わせてマイクロチップを装填していることを証明する書面の発行も可能です。
犬猫を繁殖を前提に購入する場合や先天性疾患の有無をさかのぼり確認したい場合などこの情報が大変有効です。今後ますますマイクロチップの活用は普及をする見込みなので犬舎猫舎での導入も前向きに検討する必要があります。
マイクロチップの装填は動物病院で可能です
マイクロチップの装填は近隣の動物病院で施術が可能です。ただ在庫を保有していない病院もあるので事前の予約、相談が必要です。
処置は太い注射器のような機器を使用し皮下にマイクロチップを装填します。装填時に軽い痛みはあるものの出血もなく、数分で処置は完了します。
費用は10000~15000円ほどが目安で生涯一度の処置です。
装填後に飼い主の個人情報を登録するとシリアルナンバーと紐づけ個体識別に使用できます。
近年マイクロチップの装填の高まりを受け海外から安価な製品が流入し問題視されています。この製品は装填をしても専用リーダーに反応せずデータの読み取りが出来ない、安全性が確保されていないなどの問題が生じています。
装填を行う際は必ず動物病院に依頼をし信頼のおける製品を活用しましょう。