ブリーダーの危機管理策マイクロチップ

複数の犬猫を飼育するブリーダーにとって万が一の災害や予期せぬトラブルへの備えを行う事はとても大切なことです。中でも犬猫の個体管理は最も重要度が高く難しい課題です。個々の犬猫の所有者情報を一括で管理出来、万が一の危機管理に効果が大きい方法にマイクロチップの装着という方法があります。装填には費用がかさむというデメリットもありますが、危機管理という観点からぜひ導入を検討しておきましょう。

繁殖犬猫にマイクロチップを装填する

ペットショップで販売する子犬子猫に販売前にマイクロチップを装填する取組みや動物病院で積極的にマイクロチップの装填を推奨するようになったのは、国内で度重なる大規模災害が起きた事が関係しています。個人宅のペットとして飼育されている多数の犬猫が露頭に迷い、飼い主がペット探しに困り果てているものの、保健所や保護施設も収容した犬猫の飼い主情報が把握できず、結果的には双方が講じる術がないという事態が起きました。名札や迷子札を装着していても逃走の途中で外れてしまうことや雨雪で文字がにじんでしまい読み取れないケースも少なくありません。長期間所有者が判明しないペットは里親を探すこともあります。

このような事態はブリーダーも無関係ではありません。突然の災害時に多数の犬猫を一変に保護し、避難させる事が難しいのは想定内の出来事です。そのような緊急事態を想定し、マイクロチップを飼育するすべての犬猫に装填しておけば、保護施設や保健所、動物病院で保護された場合もブリーダーのもとへ返却される可能性が多いに高まります。

マイクロチップの装填にかかる費用は数千円~一万円程です。装填は生涯一度切りで、装填後に専用のデータベースに飼い主情報を登録しまう。全国の保健所にはマイクロチップのデータを読み取る専用の機器が設置されています。

この仕組みは日本ではまだまだ普及率が低く、抵抗感もありますが海外では極一般的に導入されています。ブリーダーの危機管理の手法としてぜひ検討をしておきましょう。

マイクロチップは個体管理にも役立ちます

マイクロチップの導入は単に危機管理の手法という意味だけでなく、個体識別の効果もあります。

血統証発行時にはマイクロチップの番号を記載し、個々の繁殖内容を綿密に管理することも出来ます。また遺伝的な疾患を抑止する方法としても個体管理に役立ちます。ブリーダーの犬舎、猫舎の規模が大きくなり、運営年数が長くなり、同じ血統を受け継ぐ関連犬舎、猫舎が増えていくと次第に近親交配のリスクが高くなったり、特定の交配組み合わせを回避する必要が生じます。そのような場合にも個々の情報を把握し、共有する手段としてマイクロチップは大いに役立ちます。

ドッグショーや繁殖のために海外へ犬猫を連れ出す場合には検疫を受ける必要がありますが、その場合にもマイクロチップの装填が多いに役立ちます。

犬猫は同血統での繁殖をつづけるうちに次第に顔形が似通うようになり、個々の判別が難しいという事もあります。規模が大きい犬舎、猫舎であれば複数のスタッフが運営に関わることもあるので個々の識別はより厳密に行う必要が生じます。安全で効率的な手法としてマイクロチップの装填を検討してもよいでしょう。