
犬や猫が好き、生涯仕事として続けたい、かわいい愛犬、愛猫の子孫を残していきたいと様々な理由がブリーダー開業のきっかけになります。
しかし世間ではブリーダーという職業には厳しい目が向けられることも現実です。このような本人の熱意と世間の印象とのすれ違いが起きてしまう背景にはブリーダーの開業や運営にあたってお金の管理が出来ていないことが関係しています。開業や運営に当たっては細かな部分にまで目を配りお金の管理は必要です。
ブリーダー業開業前にかかるお金
ブリーダー業を開業する際にかかるお金をまずはリストアップします。
・繁殖用生体の仕入れ費用
・犬舎、猫舎の工事費用
・ケージ、トイレ用品、衛生用品、フードなどの飼育に必要な用品の購入
・開業における届け出にかかる費用
・広告宣伝費(HP作成やチラシ、名刺の作成など)
最低限上記の費用が生じます。
この中で最も高額な支払いとなるのは繁殖用犬猫の入手です。ペットショップから安易に購入をすると安価な変わりに成長までの期間を要すること、血統の優劣、繁殖能力の有無などのリスクが伴います。
付加価値をつけ安定した収入につなげるためには、血統を重視した良質な犬猫の入手が安心です。
また自宅の一室を活用し飼育が可能と安易に考えてしまいがちですが、複数の犬猫を飼育しながら家族の日常生活を送ることは衛生面、騒音面で想像以上の負担が生じる場合もあり決しておすすめできる方法ではありません。
開業前に実際の生活導線や衛生管理をしっかりと考え適切な施設を用意する必要があります。
ブリーダー業開業後にかかるお金
ブリーダーという仕事は決して安定した収入を見込める仕事ではありません。
しかし収入を得るためには犬猫の健康管理、衛生管理を徹底し良質な子犬子猫の輩出に努める必要があります。そのために当面は支払いが先行し、収入が後からついてくるという状態が続きます。
また犬猫の繁殖可能期間は生後3,4年までが限度です。その年齢を過ぎた後は余生と考え繁殖に用いずに飼育をする必要があり飼育費用が嵩むこともあらかじめ計算に入れておかなければなりません。
ブリーダーとして開業後に継続してかかる費用は以下です。
・フード、トイレシーツ、トイレ砂などの消耗品
・狂犬病、混合ワクチン、フィラリア予防、ノミダニ予防薬など医療費
・病気を発症した場合の医療費
・広告宣伝費
・施設の修繕費
費用の中でも予防医療にかかる費用を負担に感じ予防行為を怠ると途端に犬舎猫舎内で伝染病の蔓延が起こります。伝染病の発生歴がある場合、ペットショップやオークションでは取引不可や低い査定が付くこともあり結果的には収入減という悪循環に陥ります。
ブリーダー業で入ってくるお金
ブリーダー業の収入は子犬、子猫を販売した際の売り上げとオス犬を交配に貸与した際の費用の2つのみです。いずれも定期的に同額を受け取れる費用ではありません。金額や収入の有無は年間を通じて変動があります。
開業にあたっては数年、数十年先を見越して資金面の計画を立て、無理のない運営計画を立てる必要があります。
収入増を見込んで安易に飼育頭数を増やしてしまうと繁殖可能期間を過ぎた犬猫が数年後に犬舎猫舎にあふれかえることにもなるので安易な頭数の増加は行ってはいけません。