犬猫繁殖における近親交配の手法

犬猫の繁殖において、良血統や特質をより強く出すために計画的に近親交配を行う手法があります。この手法はブリーダー業界では古くからおこなわれていますが、健全な繁殖を行う事、遺伝性疾患を抑止するなどの観点から次第に回避することが望ましいと意見が分かれるようになっています。特に購入者である一般の飼い主は近親交配への拒絶感が強いものです。

近親交配を行うメリット

犬猫の繁殖において近親交配を行うメリットは特定の資質が強く現れる事です。この手法は通常の繁殖でも取り入れられている上に、新種の輩出の際も積極的に行われています。特に隔世遺伝を意識し、子世代と祖父母世代との交配が目立ちます。この手法はブリーダー業界では古くから当たり前の手法として行われていますが、次第にこのような内情が世間に公開されるようになり様々な指摘を受けるようになっています。

購入者の多くは、この様な交配が行われている事を子犬、子猫を購入した後で血統証が手元へ届いたタイミングで知る場合が多く、すでに家族として生活をしている以上返品などの選択肢も無く途方にくれてしまいます。中には裁判に発展するケースもあり決してブリーダー業界特有に手法として主張しきれないという事を承知しておく必要があります。

かつてこの手法を用いたとされるケースは以下の通りです。

①これまでになかった新色の輩出と血統としての固定化の為

②突然変異で誕生した身体的な特徴を固定化させる為

③小柄な体形を独自の血統として固定化させる為

新色の輩出とは、ダックスのダップルカラーやプードルのアプリコットなどが代表的です。これまでダックスは黒もしくは茶色が基本色でした。しかし繁殖頭数が急増する中で、突然変異種として誕生したダップルカラーを一代限りで終えてしまうことにならないように敢えて同色同士で掛け合わせ、血統として固定化させる取り組みがされました。この様な個体は非常に数が少なく、なかなか交配相手は見つからないこと、より強く遺伝的な特徴を引き出すためにあえて近親交配がされています。同様に猫においても盛んにこの手法が用いられスコティッシュホールドの耳やマンチカンの体型などがその成果です。

近親交配に伴うリスク

近親交配は、本来は先天性疾患を伴うリスクの高い手法です。その為に度重なる近親交配の結果以下の異常児が誕生する事があります。

①未熟児

②心臓疾患

③聴覚異常

④骨格形成異常

⑤短命

これらの疾患は誕生時には見極める事が難しく、大抵の場合は生後数か月経過してから明確な診断がされます。その為すでにペットショップなどを通じて購入者家族の元へ迎え入れられていることが多く、トラブルが大きくなる事も少なくありません。その為ペットショップ側も近親交配で誕生した子犬、子猫を取引対象から除外する規約を定めていることもあります。近親交配の手法を繁殖に用いる場合は、繁殖後の販売方法、販売先への説明、先天性疾患が生じた場合の対処法を事前にしっかりと検討しておく必要があります。また複数の犬猫を飼育し、万が一不注意で近親交配が起こってしまった場合は販売時のその旨をしっかりと説明し、販売時点で可能な限りの精密検査を受けてから引き渡しをする事を検討しておく必要があります。