血統書発行の意義が問われるブリーダー業の現状

これまでペットを購入するといえば血統書が付与されていることが当然と考えられていました。よりよい血統を引き継ぐ子犬子猫は高額な価格が付き、血統書が付与されていない場合は雑種と分類され商品価値がないとすることが通例でした。しかしここ数年でこの流れが大きく変わりつつあります。

血統書を付与しない繁殖が増加傾向

ここ数年でペットショップのスタンスは大きく変わりつつあり、全国展開をする大規模なペットショップでさえも店頭のショーケースに血統書の付与されない雑種を陳列し高額で販売しています。

以前は雑種と呼ばれていた名前もミックスやデザイン犬とアレンジされ混血種であることに付加価値を見出す手法を取っています。

この背景には様々な理由があります。その一例は下記です。

・購入者が血統にこだわらなくなった

・特定の犬種の過剰な人気ぶりに抵抗を感じ、オリジナリティのある犬種を求める風潮が強まった

・血統証付の生体の高額な価格設定が購入者の経済状況と見合わなくなった

・純血種の子犬子猫の供給が難しくなり、血統よりも頭数の確保が優先されるようになった

高額な費用をかけ子犬子猫を購入してもその恩恵を実際の生活で実感することがなく、付加価値と認められなくなったことで生体の販売価格が下がり、ブリーダーからの買い取り価格も下がりという悪循環の中でこのような変化は自然現象的に起こったと言えます。

またSNSの流行をきっかけに、個性やオリジナリティの発信や主張が意味を持つようになったこともこれまでのペット業界の慣例を変える大きなきっかけになっています。

血統書を付与しないメリット、デメリット

ブリーダー業界ではまだまだ血統書付与が当たり前と考えられている面もあります。

血統書付与をするメリットは下記です。

・付加価値となり取引価格が高額になる

・計画的な繁殖の証明になる

・適切な繁殖を行っている証明になる

・発育後のサイズを予測する目安になり、購入者の信頼につながる

一方でデメリットは以下です。

・血統書発行に伴う手間暇が犬舎猫舎の負担になる

・血統書を付与しても赤字になることがある

・付加価値として評価されず安価な取引で終わることがある

血統書の発行には2~5万円ほど費用が掛かります。しかし場合によっては子犬子猫の取引価格がこの値段を下回る場合もあり結果的にはブリーダー側がマイナスを背負う事になります。

そのためマイナス負担を回避する策としてたとえ純血種の場合でも血統書を付与しない、発行しない、あえてミックス犬として販売をするというケースが増えています。

計画的な繁殖が求められるブリーダー業

子犬子猫の売買は、引き渡しのタイミングでいかに健康であるか、流行や日本人の好みにあった顔立ち、毛色、サイズであるかなどが総合的に評価されます。

そのため取引価格の変動は大きく必ずしも毎回利益につながるとは限りません。また生き物の特質上必ずしも全てが発育後に理想的なサイズで収まるとも限りません。

子犬子猫の取引価格の下落傾向が続く中では、出来る限り経済的な負担を少なくすること、売買後のトラブルを回避することを考えあえて血統書を付与しないという計画性も場合によっては必要と言えます。